東京タワーと肉便器。

昨夜は友人と長電話をしていたのですが、(珍しいことに)わりと女子の根幹に触れるような内容であったため、受話器を置いた後もオナニーする気分ではなくなってしまいました。
なので、昨夜に引き続き『ジョゼ虎』鑑賞。ああ、やっぱりイイ映画だ。わたくしのプチ・ライフワークである『完全なる飼育』のように、これからも繰り返し繰り返し観るのだろうなあという予感がいたします。
自慰というのは自分を慰めると書くのだなあ。ストーリーのわかっているこれらの映画を噛みしめるように再見するのも、一種の自慰なのかもしれない。うん。


昨年の話になるのですが、AVメーカー・ドグマD1クライマックスというイベント(?)がありました。
簡単に言うと、メーカーの枠を超えた9人の監督がそれぞれに作品を作り、同時に発売。売上と審査員評で順位を決定するというものなんですが、出演する女優さんを公開オーディションで選んだり、監督陣に女優さん・男優さんが入っていたりと、なかなかに大がかりで面白い企画でありました。
私はひと通り全部の作品を観ることができたわけなのですけれども、HPのラインナップを見てもらえればわかるとおり、うんこからアナル、レズ、ロリ、ドキュメント、腋毛と実に個性的な作品が揃っていて、どれも非常に面白かったです。
しかし、その中でも特に(・∀・)イイ!!と思った、ずっと手元に置いておきたいと思った作品は2本。1本は優勝したTOHJIRO監督の『Mドラッグ』、もう1本はカンパニー松尾監督の『パラダイス・オブ・トーキョー』でした。
(※私は自分の性癖は悲しいくらいに最大公約数だと思っているのですが、そもそもエロのツボというのは人によって千差万別であると思うので、丁寧に真剣に作ったものであれば、順位というのはあまり意味をなさないような気もします。例えば、うんこやレズや腋毛にはあまり欲情しないのだけれど、そこがツボだという人はたぶん他の作品を評価するはずです。念のため。)

予告編やパッケージを見てもらえるとわかるのですが、この2本はパッケージも内容も正反対というかむしろ対極にあります。でもどちらもすごくいやらしいし、完成度が高い。
『Mドラッグ』は、サブタイトルの「美少女肉便器・強制フェラ・生中出し」というタイトルそのままの内容。星月まゆらちゃん(唇つやつや、瞳うるうるのロリ美女。そして激M女!)という上玉の女優さんが、便器に大股開きでくくりつけられ、10人の男にただひたすらフェラチオをし、精液を飲み、6人の男に生で中出しされ、それでも目をうるませながら「もっと頂戴、もっと!」と腰を振るというものであります。肉便器というエロマンガのような設定。説明も設定も一切なく、あるのは肉交だけというシンプルな力強さ。私は「肉便器」とか「美少女」とか「中出し」とかに過剰に興奮してしまうタチであるので、まさにこれ以上はない「ヌクためのビデオ」でした。20分くらい見てるとちゃんと1回はヌケるので、一度に使ってしまうのが勿体無くて何日かに分けて楽しませてもらった次第。
パッケージやタイトルのエロさ・女優さんの知名度が他の作品よりも勝っていたので、販売数がダントツでよかった(2位の作品とはダブルスコアだったらしい)のはまあそうだろうなあと思いますが、見掛け倒しではなかった、看板に偽りはなかったような気がしました。

一方『パラダイス・オブ・トーキョー』は、女優オーディションの風景から、1人の女の子(今日これからすぐにセックスできる人という条件付きで選んだ)とホテルに行きセックスするというドキュメント。言葉にするとそっけないのだけれども、セックスというもの、男と女というものの切なさ、苦しさ、ずるさ、怖さ、なんかが見事にドスンとくる作品です。1本の中に、行為の途中にすすり泣く甲高い声と、すべてが終わった後ビールを飲みながら自分のことをざっくばらんに話す低い声が両方入っている。私はうまく表現できんのですが、映像の美しさや音楽・編集のかっこよさなんかも含めて、とにかく傑作だと思いましたです。美人AVライター・雨宮まみ嬢の「NO!NO!NO!」のレビューを読むと、そのへんが非常にシャープにわかりやすく書かれております。コチラ→ http://www.fastwave.gr.jp/diarysrv/addict/200509b.html#20050914 を参照)
ぶっちゃけ、売上のほうはあまり振るっていないっぽいのですが、それは明らかにタイトルとパッケージのせいであろうなあ。オナニーをしたい人はどうしたって買いそうにない(笑)。でも、内容はしっかりエロいんですよ。セックスシーンは生々しく、ちゃんとオナニーに使えます。行為そのものもいやらしいけど、それ以上に会話とか男女の関係性とかがしみじみとエロい。
深夜、日付が変わってから観始めたのに、途中でDVDを止めることができず2時間弱を最後まで一気に観てしまいました。時々泣きながら。ああ、いいもの観たと思って、そして、もう一度頭から再生して今度はきちんとオナニーしました。むろん、2回も観たらさすがに明け方になっておりましたよ……。
D1クライマックスは、売上が700点・ライター評が300点という振り分けで採点したそうです。『パラダイス・オブ・トーキョー』は売上は振るわなかったので順位には入ることができませんでしたが、ライター評ではダントツの1位だったとか。誰にも文句を言わせないいい作品であるのに、それだけでは売れない。「売る戦略」というものは確かに必要なのだなあということも改めて思いましたです。


そういえば、同じように『パラダイス・オブ・トーキョー』を観たという方(♂)と話していた時のこと。「泣きながらオナニーをしたか」という話になったのですが、ここんとこはですね、なんとしてもはっきりさせておかねばなりません。
私は「泣きながらオナニー」はしてないです! 1回観て泣いて、それから2回目観ながらオナニーしたの! はい、ここ重要!!
人にもよると思うんですけど、ぽろぽろ涙を流しながらオナニーができるかといったら、私はたぶんできないんですよね。
これは「作品としてのAV」と「オナニーツールとしてのAV」という話とも絡んできて難しいところなんですが、私は、頭の中に「スケベ」以外の感情があるとどうにもうまくコトが行えないタイプなのでございます。本当のことを言えば、『パラダイス・オブ・トーキョー』を2度目に観るときは、意識的に1回目に感じた感動や切なさを排除して観ていました。
もちろん、AVにスケベ以外のものは必要ないと言っているわけではないのですよ。笑えるAVも好きだし、バクシーシ山下監督の作品も好き。リアルなセックスを通してしか見えないものもあると思う。
ただ、私にとってエロとかオナニーというのは、すごくいい物で、例えるならば、冷蔵庫の中に楽しみにしまってあるケーキみたいな物。モラトリアムな学生時代……毎月毎月借金が増えていくバイト時代……ストレスだらけだった派遣社員時代……先の見えないニート時代(ぶっちゃけ今ですけども。ちなみに全時代通じて男っ気無し。ヽ(´ー`)ノ)、なんとか死なずにやってこれたのは、オナニーという楽しみがあったからと言っても過言ではございません。
だから、できればオナニーには、いつもニコニコ、ただただエッチなだけの慰安婦さんであってもらいたいという気持ちもあるのです。いくら真実でも、胸が痛くなるような現実を観ながらは、したくない。


まあ、考えてみれば、AV=オナニーでなくてはならんということはないし、1回のオナニーよりも、もっとすごい体験をさせてくれるAVはたくさんあるんですけどね。
『ジョゼ虎』を観るのと同じく、そういったAVを観るのも一種の自慰行為なのかもしれないし。


いやはや、いずれにしても、いろんなむずかしいことを考えさせられた「D1クライマックス」でありました。来年もあるらしい(そしてまたオモシロスゴイ監督が参戦するらしい)ので、ちょっと楽しみにしている俺です。